都会のアリス / ヴィム・ヴェンダース監督
雨の日のチルアウトタイムにみると、いいんだよねという話のつづき。
前回のくわしい内容はこちらを→
ポチリ☆
主人公の男、ドイツ人のジャーナリストは、仕事で訪れたNYに滞在しているが、
仕事が進まない、おまけに自分というアイデンティティも失い、呆然と放浪しながら、
憑かれたようにポラロイドカメラで、自分が見た風景や物の写真を撮りまくる日々。
ある夜に人恋しくて、同郷人の(元彼女かな?)マンションに転がりこむけど、
温かい出迎えのかわりに、ピシャリと手厳しい、ひとことをいわれてしまう。
自分を見失ったら、見るものも、聞くものもすべてが通りすぎるのよ。
あなたは自分に言い聞かせているだけだから、他人の話はまるで聞こえていない。
自分が存在した証拠が欲しいの、 だから写真を撮るのよ、自分が居たという証拠に。
それを聞いてもらいに来たんでしょ?____でも、独り言よ。
どう生きるかなんて、教えられないわ。
この街では交差点をわたるときでさえ、わたしにとっては知らない森を歩くようなもの。
それでも勝手に服を脱ぎはじめる男。
もちろん、出て行ってと、追い出される。笑
いよいよ男は実家のドイツに帰ろうと空港にいくが、ストライキで断念。
さらには、ひょんなことから少女アリスに出会い、面倒をみる羽目になる。
NY→アムステルダム、見知らぬ土地の薄い記憶に浮かぶ、アリスの祖母を探す旅。
自分を失った男が、抜け殻で翻弄される。
これこそ、“森を歩くようなもの”、よくわかる気がするわ。
ただ、元彼女のいうような暗い森もあるだろうし、アリスとのPOPな森もあるよね。
どちらの森だろうが、先は見えなくても、一歩ずつ地面を踏んでいる感触があればいい。
すべてが通りすぎていかないように、しっかりと自分の足で踏んでいるという実感が。
結局、男はアリスと旅にでるようになってから、あまり写真を撮らなくなる。
悩める男を不思議の国につれていき、 鬼のマイペースでふりまわすという勝手さ!
しかしみごとな荒療治で男を再生させる、小悪魔アリスは、最高キュートでした。
雨の日じゃなくても、
秋(冬)の夜長にぜひ。
hana
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