ほんのちょっとの、むかし、本屋で見つけた絵本。
そのときは気になったけど、手にとらなかった。
きのう、散らかった頭を整理したくて、ヨガスタジオにいった。
スタジオ入り口、座ったソファーの前に、ぽん、とそれが置いてあった。
レッスンが始まるまで、あと20分。
久々に再会した絵本を、手にとった。
いちまいいちまい、
薄くて繊細なトレーシングペーパーに描かれる物語は、
透ける紙質を利用して、数ページ先まで絵が重なり、意味をなす仕掛け。
いちまいいちまい、
静かに語りかけてくる物語が心地よくて、
ページをめくる手のスピードが、自然とゆったりしてくる。
そこでふと思いだす。
「いま」と「すこしあと」が繊細に重なりあって、
アタシたちの未来ができてることや、
はじめからわかってるはずなのに、
ときどき忘れてしまう、大切なもののこと。
主人公が最後にみつけたものが、改めて、それを教えてくれる。
本を閉じたあと、じんわりと温かい余韻。
散らかっていた頭が、少しだけクリアになったきがした。
この感情もまた、いつかの未来につながったらいいな。
きっとこの感情を生みだすために、「いま」この絵本に再会したんだね。
『brooch/ブローチ』
絵:渡邊良重
文:内田也哉子
リトルモアbooks